いよいよ、「まきばの里」開設に向けた具体的な動きに入りました。今までも、それなりに準備をしてきましたが、これからいよいよ本格的な準備に入ります。

その手始めが、必要スキル(技能)の習得です。何といってもキャンプ場の整備は木を切ることから始まります。それにはチェンソーが必須です。最初は、講習など受けずに、いきなり本番で経験を積めばなんとかなるぐらいに思っていたのですが、本やインターネットでチェーンソーの情報を調べていると、我流で進めるのは危険であることが判明。そこで、チェンソーの講習を受けることにしました。

二日間の技能講習でしたが、結果、受講して大正解だった思います。費用は2万円でしたが、余りある価値がありました。この講習を受けずに我流でチェーンソーを使っていたら、きっと大事故を起こしていたように思えてなりません。

受講したところは、川崎市にあるコマツ教習所 神奈川センターです。特別教育の内容は以下の通りです。

特別教育タイトル: 伐木(ばつぼく)等の業務

学科
・伐木作業に関する知識  3時間
・チェーンソーに関する基礎知識 2時間
・振動障害及びその予防に関する知識  2時間
・関係法令  1時間

実技
・伐木の方法 4時間
・チェーンソーの操作 2時間
・チェーンソーの点検及び整備 2時間

この教育を受けずにチェンソーを使っても、自動車の無免許のように法に触れるわけではありません。チェンソーの個人的に利用する上でこの教育を受ける必要はありませんが、企業の場合、この教育に合格していない従業員が伐木をして事故を起した場合、労災認定されません。その意味では、企業においては免許に近い効力を持つものと言えます。

それだけ国(厚生労働省)も、安全対策が重要な業務と認識しているのだと思います。そして、実際、受講してよかったと思います。その具体的な内容を以下に記します。

  • 木を伐ることに対する安全の考え方。この講習はそのタイトルにあるようにチェンソーの使い方そのものではありません。チェンソーはその一つの手段であるという位置づけです。そのため、チェンソーの使い方だけでなく、木を切ることの行程全般に対する安全の考え方とそれに基づいた方法や器具の使い方をかなり詳しく教えてくれました。
  • 振動障害はこの講習を受けなかったら全く気付かずにいたと思います。これは盲点でした。チェンソーのような振動の大きな器具を使うことによっておこる職業病です。普段からチェンソーを使う時に予防策をとっておかないと大変なことになりかねない病気ということが理解できました。
  • チェンソーのメンテナンス。チェンソーは日本刀のように日ごろから手入れをきっちりしておく道具だということを認識できました。一つはチェーンについている歯の切れ味の維持。もう一つがエンジンの手入れです。これを怠るとチェンソーはすぐに使い物にならなくなるようなのですが、本などでその方法を読んでもよくわかりません。そのあたり、実地で教えてもらえることは非常にありがたかったです。

受講前は、建築・土木・林業関係の若者ばかりが受講するものだと思っていました、実際に受講してみると20人の受講者の中に結構それなりの年配の方もおられたので一安心。しかし、私のような一般的なサラーリマンは皆無でやはり業界関係者ばかりのようでした。

まず、日焼け具合が違います。私はサラリーマンの世界では肌の色はかなり黒いほうですが、この世界にやってくるとやっぱり白く見えます。それと服装、それなりに作業服に近いものを着ていきましたが専門の作業着と異なります。それと、なんと言っても違うのがチェンソーを触ったことがないは私を含めて二人しかいなかったということです。

実際、講習の後、実技に移ると、私だけが他の人の2~3倍の時間を要していたように思います。さすがに、2回目、3回目と使う回数が増えてくると、慣れによって最初の時のぎこちなさは減っていきましたが....(汗)。

どんなところに時間を要したかというと、まずエンジンの始動です。チェンソーは自動車のようなセルモーターがなく、人間がスターターロープを力強く引くことでエンジンを始動させます。左手と右足でチェンソーを押さえて右手でスターターロープのノブを思いっきり強く早く引くのですが、エンジンが始動しません。また、自動車のようなオートチョーク(かつて自動車の冷えたエンジンを始動させるときに必ずおまじないのように引いていたチョーク)もありません。そのため、エンジンが冷えている状態では、チョークノブを引いてからスタータロープを引っ張る必要がありますが、その癖付けがないので、チョークノブを引かずにスターターロープを引こうとしたりします。また、チョークを引いたままで、何回もスターターロープを引っ張ると、エンジンの中がガソリンで濡れ、そもそもガソリンが点火しなくなります。そのため、3回ほどスターターロープを引っ張ってエンジンが始動しないと、頭の中がパニックになってくるのです。結局、最初の操作の時は教官にエンジンの始動をしてもらう羽目になりました。2回目は、5回ぐらいスターターロープを引っ張って始動、3回目は、やはり始動できず教官に始動してもらいました。

その後、その理由がわかったのですが、スターターロープをまっすぐ引っ張っているつもりでも、実際はスタータロープを斜めに引っ張っていることが問題でした。このことがわかってから後は、2~3回スターターロープを引っ張るだけでエンジンを始動できるようになりました。

次に時間を要したのが、丸太の切断です。切っている最中にエンストしてしまうのです。理由は2つありました。一つ目はまっすぐ上から下に切っているつもりでも、微妙にカーブして切ってしまい、そのため、チェーンが切り口にかんでしまうためです。二つ目はスロットルを全開にしないことです。前者は、姿勢と力の入れすぎから起こっていました。チェンソーに恐怖感があるため、どうしても腰が引けます。そして、その分、腕でチェンソーを下に押し付けるようにするのですが、この押し付ける方向が切っている最中に少しずつ斜めにずれてきて切り口が上から下に曲がってくるのです。また、後者のスロットルも恐怖感からきており、できるだけ遅いチェーンの回転で切りたくなり、スロットルレバーを全部押し込まずに切ろうとしてしまうからです。

これは、単純に慣れで治ってきました。切断も3回目ぐらいになってくると、チェンソーへの恐怖感もかなり薄まり、チェンソーを体にひきつけた姿勢で、スロットルを全開にできるようになったためです。

そのように、四苦八苦しながら実技が終わり、最後に学科試験です。こればかりはスマートにこなせました、やれやれというところです。学科試験が終わるとすぐにその場で採点され、無事合格(というか、全員合格でした)。

この講習を終えた直後は、充実感と、安堵感と、そしてぐったりするような疲労感の3つが一度に襲ってきた、そんな感じのまったく初めての体験の二日間でした。