チェンソーの初心者にとって、チェンソーはどのようなものを購入すればよいか非常に悩むものだと思います。

もっともよいのは、いろいろな種類のチェンソーを実際に使ってみることですが、チェンソーは借りられたとしても、自分の目的にあった試し切りの対象となる木の種類(例えば伐木用の庭木などの低木や広葉樹・針葉樹の大木の立木、枝切り・剪定用の木、玉切り用の丸太 など)を用意することが難しいと思います。これらの伐る対象物によってもチェンソーの適否が当然あります。

それゆえ、チェンソーの評価については、いろいろな視点でまとめられた評価記事がインターネット上にありますが、全ての視点を網羅しているものはなく、おおむね以下の視点からまとめられた記事が多いと思います。

  • カタログスペック的チェンソー製品機能比較
  • 電動・充電・エンジン式チェンソーの違い
  • 出力やバーの長さの違い
  • バーの種別の違い
  • ソーチェーン(チェンソーの刃)の種類の違い
  • 価格帯の違い

などです。そして、購入するまでであれば、上記のような情報で結構満足して購入すべき機種を決めることができると思います。ところが、小型の充電式チェンソーと中型のエンジンチェンソーの両方を実際に使ってみると、上記のような評価ポイント以外に別の大きな評価ポイントがあることに気づきました。ここでは、そのことについて書きたいと思います(上記のような視点の評価ポイントは先人がたくさん書かれているのでそちらのサイト等を見ていただければと思います)。

とは言いつつも、私がチェンソーを購入するまでに至る経緯は、上記のようなインターネットにたくさん書かれている記事でした。まず、その情報からどのようなチェンソーを選んだのかを紹介させていただきます。

最初に気にしたのがメンテナンス性です。エンジン式チェンソーは電動式や充電式チェンソーに比べてメンテナンスにかかる手間が大きいということです。それには次の3つがあります。

  1. エンジンであるが故のキャブレーター等の清掃
  2. 燃料の混合オイル(エンジンオイルとガソリンを1:25または1:50で混ぜる)を作らなければならない。
  3. 混合オイルは一般的に1ヶ月以内に使い切らなければならない。そのため、長期に使用しない場合は燃料タンクから混合オイルを抜いて破棄する必要がある。(破棄する混合オイルも簡単には捨てられないことが多い)

上記の手間の1以外(2と3)はお金をかければある程度解決できます。ガソリンとエンジンオイルを混ぜて缶に入れられて販売されている混合オイルがあります。この場合、4Lで1500円ぐらいからチェンソーメーカー純正オイルであれば3000~4000円ぐらいの価格で購入することになります。通常のガソリン4Lの価格が約500円(1Lで140円程度)なのに比べると、混ぜるエンジンオイルの価格を考慮しても非常に高価です。また、混合オイルの寿命についても、高価な混合オイルを買えばある程度解決します。添加剤としてよいものが使われているのだと思いますが、モノによっては5年間使用可能と宣言された混合オイルもあるからです。

次に着目したのはパワーです。私がチェンソーを使う最大の目的は、キャンプ場の整地です。キャンプ場予定地には、500本(ひょっとしたら1000本ぐらいある?)を超える赤松とナラ系の、直径30~50cm、高さ15~25m、程度の高木の林と、ヤナギやマユミやノリウツギなどの直径5cm~20cm、高さ3~5m程度の根元から枝分かれした低木が生い茂る耕作放棄地があります。

これらの高木と低木ををかなりの本数伐り倒さなければキャンプ場は作れません。この2つのタイプの木を伐採するには、パワーが大きいチェンソーと小さいチェンソーの2種類が必要と判断し、まずは、パワーの小さいチェンソーを購入することにしました。そこには、パワーが小さいチェンソーでチェンソーの経験を積んでからパワーが大きいチェンソーを使ったほうが良いという判断も働きました。

パワーの小さいチェンソーに的を絞ると、充電チェンソーが非常によさそうに思えます。充電式チェンソーは、電気式チェンソー(100V電源が必要)に比べてエンジン式チェンソーと同様にモバイル性があり、かつ、エンジン式に必要な煩わしい燃料のメンテナンスがありません。また、振動も少ないので、白ろう病 などの振動で起こる病気になりにくいと思われます。ですから、充電式チェンソーをターゲットにしない手はありません。しかし、問題もあります。それは、価格とバッテリー切れです。

充電式チェンソーの価格が高いのはひとえにバッテリーの価格にあると思います。この問題は、バッテリーを他の装置と兼用することで解決します(ただし、リチウムバッテリーの充電可能回数が概ね500回であることを考慮しないという前提ですが)。私の場合は、同時に購入を考えていた刈払機を同じバッテリーで兼用利用するという選択ができました。さらに、マキタやハイコーキ(旧:日立工機)の製品にすれば、兼用できる工具の種類は大きく増えます。

そして、購入したのがマキタのMUC254DZRです。排気量23mL程度の小型エンジンチェンソー相当のパワー。バーの長さは25cm、重さはバッテリー込みの総重量3.1kgと同等のパワーのエンジン式チェンソーより少し軽い。といった仕様です。ソーチェーン(チェンソーの刃)は25APというホームセンターでも販売されている普及タイプです。バッテリーレスで買ったので、ホームセンターで販売されている同等パワーのエンジン式普及タイプ機に比べて少し安い値段で購入できました。購入は、もちろんマキタですから、インターネットでお安いところを探しての購入です。

次はパワーが大きいエンジン式チェンソーです。これは上記の充電式チェンソーで、ある程度低木を伐った後、いよいよ赤松やナラ系の木を伐らなければならない状況になったときに購入しました。何をどこで買ったかというと、 STIHLの林業プロ向け入門機である MS 241 C-M を S林業の機械センターで買いました。

排気量42.6 cm³、重さ4.5 kg(実際の混合オイルやバーを取り付けた重さは6.0kg)で、バー長40cm、オートチョーク、自動キャブレター調整機能、そしてソーチェーンは普及型に比べて切れ味30%増し、というものです。購入したS林業は「チェンソー その2」で書いたチェンソー講習会の講師の方が社長を務めている会社です。

まず、STIHLというドイツメーカーの製品を購入しようと決めた理由は以下の通りです。

  1. 危険のあるメンテナンス必須の機械は、購入機種の修理を熟知している販売店からフェースツーフェースで購入したい。STIHLはインタネット販売は禁止されており店頭販売だけ。また、販売店は修理資格等が必要らしい。
  2. キャンプ場整地のための使い方を考えると、林業向けプロ機仕様の入門機あたりが適当と思われる。
  3. インターネットに記事を挙げているプロの林業系の方々が使っているチェンソーはSTIHLが多い。
  4. 何となくカッコ良い。

そして、S林業で購入したのは、以下の理由です。

  • STIHL販売店である。
  • 林業のプロの目で、適切な機種(STIHL以外も含め)を奨めてもらえそう。
  • 低価格帯の普及タイプのチェンソーしか販売していないホームセンターを除いて、最も近いチェンソー販売・修理店である(それでも車で40分ぐらいかかりますが)。

そして、 MS 241 C-Mを選定した理由は、S林業の社長のSさんの推薦があったためです。我々の想定している使い方を理解していただき、他のメーカのと合わせて2機種を推薦いただき、その中で私の好みとしてSTIHLのほうを選んだ結果です。

ここまでは、一般的なインターネットや人の推挙などの情報収集による購入機種選定の流れだったと思います。そして、今でも、この機種選定自体は正解かどうかは別にして、少なくと失敗であるとは思っていません。ところが実際に使ってみると、想定外の問題というか、使い方を考えなければならないということが発生しました。

そのあたりは次回にお話しさせていただきたいと思います。