チェンソーといえば 白蝋病(はくろうびょう) という機械の振動が指の血管障害を引き起こす病気が有名でそれへの備えは万全を期したつもりでしたが、それとは異なる腱鞘炎という障害で始まった伐木でした。

結局、腱鞘炎とはその時々の症状の重さ軽さの変化の中で付き合っていくことになります。身体を使う「六十の手習い」は、元気なようでいてそれまで使ってこなかった体の部位を急に使うようになるとその部位に障害が出てくる。そのようなリスクを考慮して作業計画を立てるべきということを痛感させられた障害でした。

とはいえ、いったん始めた手作りキャンプ場作り、こんなことでやめるわけにはいきません。充電式チェンソーで切れるウツギや猫柳などの灌木を概ね伐り終えた後は、いよいよ直径15~30cm程度のハンノキ、ミズキや赤松の伐木です。

ここで登場したのがSTIHLのエンジンチェンソーです。エンジン物の常ですが新品は慣らし運転が必要です。当然STIHLのマニュアルにもエンジンの慣らし運転のことが書いてあります。チェンソーのガソリンタンク一杯分がなくなるまで慣らし運転したほうが良いそうです。

そこで、ご近所で薪ストーブ用の長さ1m強、直径20cm前後のナラの木を大量に買われた方にお願いして、敷地に置いているそれらの木を薪ストーブに入る長さになるように3等分する玉切り (伐木済みの木を横に置き輪切りすること) を好きなだけさせてもらうことにしました。

最初は、慣れているマキタの充電チェンソーで切りました。さんざんキャンプ場予定地の灌木を伐ってきたチェンソーです。想定通りの手になじんだ切れ味でした。そしてその後、いよいよSTIHLのエンジンチェンソーの登場です。

エンジンチェンソーの切れ味は、過去の教習や講習会で体験はしていましたが、18V充電チェンソーを使った後のSTIHLの切れ味は全くの別次元の切れ味でした。木の上に置くだけで、チェンソーの重みで勝手に切れていく感じです。まさに教習の時に教えられた「玉きりはチェンソーを置く感じで切る」そのものでした。

教習所や講習会では、当然新品のソチェンを装着したチェンソーで切ってはいません。すでに使われているソチェンを使っての実習です。しかし、今回は新品の新品のソーチェンをつけた新品のチェンソーです。教習所や講習会の時とは比べ物にならない切れ味です。本当にチェンソーを玉切りする木の上に置いただけで切れていくのです。

これにはびっくりです。さすが新品、さすがSTIHLの林業用プロモデルです。慣らし運転だから、当然フルスロットルにしていません。それでこの切れ味です。1回の玉切りに要する時間は、充電チェンソーの1/3から1/4程度の感覚です。

と、ここまではさすがエンジンチェンソー、さすがSTIHLだったのですが、玉切りてさらに続けて同じ木を切るとと少し風向きが変わってきました。木が長い時はその片方だけを台の上にのせて切ることができます。そのため上から下に単純に伐ることができます。しかし、切る木が短くなると木の真ん中をきるため木の両端を台の上において切ることになります。この場合、単純に上から下に切ると切っている途中で、切り口がチェンソーのバーを挟んでしまい、それ以上チェンソーを下に押し下げることができなくなります。そこでこのような場合、上から半分程度切り下げた後、下から上に切り上げることをしなければなりません。

この時、エンジンチェンソーの重みがずっしりと手にかかってきます。充電チェンソーがおよそ3.5kg、このエンジンチェンソーがおよそ6kg、倍近く違います。5kgの米袋を中腰の姿勢で食卓の裏に下から押し付けているようなものです。実際にはそれより重くさらに振動していてかつソーチェーンの回転で手前に動こうとする力に静止させるためのバランスをとる力も加えなければなりません。

そうして、得られた教訓は、20cm前後の太さの伐木の玉切りに関して、上から切るのは圧倒的にエンジンチェンソーが良い、しかし、下から上に切らないといけない場合は「引き分け」といった感じだということです。確かに、下から上に切るときは充電式チェンソーの軽さが良いのですが、その代わり、切る時間がエンジンチェンソーより長くなります。要は、重くても速く切れるほうが良いか、逆に遅くても軽いほうが良いか、の一長一短の比較となるということです。

注)ここでは充電式が非力で、エンジン式が強力であると書いていますが、18V充電式チェンソーは一般的に20cc程度のエンジンに相当するパワーであるといわれています。そして重さもそれぐらいの小型チェンソーであれば3kg台が普通です。そう考えると、今回の投稿の内容は、小型チェンソーと中型チェンソーとの比較と言えるかもしれません。

このような経験をした後、いよいよ本格的な伐木を始めることになりました。これ以降は、カテゴリーを「チェンソー」から「伐木」に変えて投稿を続けたいと思います。

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